ツルムラサキは、そのユニークな特性と豊富な栄養価で、沖縄を含む多くの地域で重宝されている野菜です。
この記事では、ツルムラサキの特徴から栄養成分、選び方、保存方法、そして活用法まで、詳しく探究します。
ツルムラサキとは?
ツルムラサキは、ツルムラサキ科に属する一年生のつる性植物で、東南アジアが原産地です。
この野菜は、その肉厚で光沢のあるハート型の葉と、緑色または紫色の茎が特徴です。
夏の暑い時期にもよく育ち、独特のぬめりと風味があります。
また、β-カロテン、ビタミンC、B群、カリウム、カルシウム、鉄分など、多くの栄養素を含んでおり、特にβ-カロテンは体内でビタミンAに変換され、抗酸化作用や免疫力向上に寄与します。
ツルムラサキの歴史と背景
ツルムラサキは、古くから東南アジアや中国南部で栽培されてきました。
日本には江戸時代に伝わり、観賞用として栽培されていたことが始まりです。
沖縄では「ジービン」または「じゅびん」と呼ばれ、内地のものよりも大きく育つ特徴があります。
中国やベトナムでは、それぞれ独自の名称で親しまれ、栄養価の高さから「インドのほうれん草」とも称されています。
ツルムラサキの豆知識
ツルムラサキには緑色の茎を持つ種と、赤紫色の茎を持つ種があります。日本国内では、主に緑茎種が野菜用として流通していますが、赤茎種は「シンツルムラサキ」と呼ばれ、観賞用に導入された歴史があります。
この野菜は、熱帯アジアを原産とし、今では東南アジアから中国南部にかけて広く栽培されています。
栄養成分と健康への効果
ツルムラサキは、ビタミンA、C、E、K、葉酸、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄分などを豊富に含む緑黄色野菜です。
「ビタミンACE」とも呼ばれるこの野菜は、健康維持に非常に重要な役割を果たします。特に、カルシウム含有量はほうれん草の約3倍とされ、骨の健康維持に貢献します。
沖縄の生活習慣とツルムラサキ
沖縄では、ツルムラサキが「ジービン」として知られ、島野菜の一つとして栽培されています。
そのネバネバした質感は、夏バテ防止にも効果的であり、沖縄の食文化に深く根ざしています。また、台風などの自然災害に強く、暑い夏の沖縄で元気に育つことから、日々の食生活に欠かせない存在です。
選び方と保存方法
新鮮なツルムラサキを選ぶ際は、葉が緑色で光沢があり、張りがあるもの、茎が太く柔らかいものを選びます。保存する場合は、湿らせた新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室で保管すると良いでしょう。
また、茹でてから冷凍保存することも可能です。
料理での活用法
ツルムラサキは、おひたし、和え物、お味噌汁、炒め物、天ぷらなど、多様な料理に活用できます。特に、ネバネバを生かしたスープやスムージーに入れると、夏バテ防止にも効果的です。
また、調理時には、茎が太い部分は縦半分に切ったり、斜め切りにすると良いでしょう。
ツルムラサキを使ったレシピ
ツルムラサキの豚肉巻き
ツルムラサキの豚肉巻きは、豚薄切り肉にツルムラサキを巻きつけ、甘辛いたれで炒めたシンプルながらもご飯が進む一品です。ツルムラサキのほどよい歯ごたえと豚肉の旨味が絶妙にマッチします。
材料(2人分)
- ツルムラサキ:100g(茎の太い部分は半分に切る)
- 豚薄切り肉:200g
- 塩こしょう:少々
- 醤油:大さじ2
- みりん:大さじ1
- 砂糖:大さじ1
- ごま油:大さじ1
- おろしにんにく:小さじ1/2
作り方
- 下準備: ツルムラサキはさっと茹でて水気を切り、長さを豚肉の幅に合わせてカットします。
- 豚肉の下準備: 豚肉に塩こしょうをふり、1枚ずつにツルムラサキを乗せて巻き、巻き終わりを下にしておきます。
- たれを作る: 小鍋に醤油、みりん、砂糖を入れて火にかけ、煮立ったら火を止めて冷まします。
- 調理: フライパンにごま油を熱し、おろしにんにくを炒め香りが出たら豚肉巻きを入れ、中火で全体に焼き色がつくまで焼きます。
- たれを絡める: 4に3のたれを加え、全体に絡めながら中火でさらに炒め合わせます。たれが少し煮詰まってきたら完成です。
盛り付け
- 器に盛りつけ、好みで刻みネギや白ごまを散らして、熱々のうちにご飯と一緒にお召し上がりください。
このツルムラサキの豚肉巻きは、ツルムラサキの栄養をそのまま楽しみながら、ご飯がすすむ美味しさを堪能できるレシピです。簡単にできるので、忙しい日の夕食やお弁当のおかずにもおすすめです。
収穫時期と購入時期
ツルムラサキは、特に10月から11月にかけて旬を迎えますが、熱帯地方では年中栽培が可能です。
日本国内では、夏から秋にかけて市場に出回ることが多く、新鮮なものを手に入れることができます。
ツルムラサキの詳細
ツルムラサキの詳細情報を以下の表にまとめました。
項目 | 情報 |
---|---|
沖縄方言名 | ジービン/じゅびん |
和名 | ツルムラサキ |
別名 | インディアン・スピニッチ、マーラバー・ナイトシェード |
農産物区分 | 野菜 |
科名 | ツルムラサキ科 |
生産地 | 東南アジア、中国南部、沖縄 |
収穫時期 | 10月~11月 |
成分表:可食部100g当たり
成分名 | 値 | 単位 |
---|---|---|
エネルギー | 12 | kcal |
脂質 | 0.2 | g |
ナトリウム | 9 | mg |
カリウム | 210 | mg |
炭水化物 | 2.6 | g |
水溶性食物繊維 | 0.6 | g |
不溶性食物繊維 | 1.6 | g |
タンパク質 | 0.7 | g |
ビタミンC | 41 | mg |
カルシウム | 150 | mg |
鉄 | 0.5 | mg |
ビタミンB6 | 0.1 | mg |
マグネシウム | 67 | mg |
ツルムラサキは、その栄養豊富な成分と独特の食感で、多様な料理に活用できることが分かります。沖縄の食文化においても重要な役割を果たしています。
まとめ
ツルムラサキは、その栄養価の高さと、様々な料理での活用性から、沖縄をはじめ多くの地域で愛されています。
特に、暑い夏を乗り切るための栄養補給や、健康維持に役立つ野菜として、日々の食卓に取り入れることをおすすめします。